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これは福山通運の社名ロゴ。
中国地方では運転中よく見かけるのだ。
福山通運のトラックにこのロゴが書かれている。
どこかおかしなところはないだろうか。
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『通』『運』の「しんにょう」の点が3つある?
![](https://zakkiblogwakasegenai.com/wp-content/uploads/2020/11/dog1_smile.png)
その通り! 不思議なので「しんにょう」について色々調べたよ!
「3点しんにょう」は存在するのか?
実は、現在は「3点しんにょう」を使った漢字は存在していません。
現在の使用されている「しんにょう」は「1点しんにょう」か「2点しんにょう」のどちらかです。
ということは、福山通運のロゴはオリジナルのフォントというわけですね!
通常用いられない「3点しんにょう」を使っているようです。おしゃれですね!
![](https://zakkiblogwakasegenai.com/wp-content/uploads/2020/11/cat3_1_question.png)
ん~?じゃあ「しんにょう」の点は何個が正解なんだろう?
「1点しんにょう」と「2点しんにょう」どちらが正しいの?
正解はどちらも正しいです!
ですが、1点か2点かの違いには条件があります。
それは、「常用漢字」であるかどうかと「日本産業規格 ( JIS )」に関係します。
「常用漢字」としての「しんにょう」
「常用漢字」に規定されている漢字では基本「1点しんにょう」としており、「常用漢字」に規定されていない漢字では「表外漢字字体表」に基づく。またそれ以外の漢字は特に決められていません。
※常用漢字でも『遜』『遡』は「2点しんにょう」
※常用漢字でも『謎』の「つくり」のしんにょう部分は「2点しんにょう」の形
➥しかし『迷』は「1点しんにょう」なのだ…まさに謎である。。
「日本産業規格 ( JIS )」としての「しんにょう」
日本産業規格(JIS)とは、産業標準化法に基づく日本の国家標準の一つである。この中に「JIS漢字コード」が収録されており、漢字の推奨字形が規定されている。PC等で打ち込む文字のフォントも基本はこのJISに従って作られている。
現在の最新JIS漢字コードは「JIS X 0213:2004」の通称「JIS2004」である。
この「JIS2004」では、「常用漢字」と同じルールで「しんにょう」が用いられている。そして「常用漢字」以外は「2点しんにょう」となっているのだ。
たとえば、「邁進」という字に注目する。
『邁』は常用漢字ではないので「2点しんにょう」で表示され、
『進』は常用漢字なので「1点しんにょう」で表示される。
ということで日本で使用されている現行の漢字には、「1点しんにょう」「2点しんにょう」のどちらも使用されているのです。
時代によって点の数が変わる!?
戦前は「2点しんにょう」が一般的
実は、戦前は「2点しんにょう」を使うのが一般的でした。
1716年、康煕帝が史上最高の辞書を作れと命じ、「康煕字典」という辞書が5年の歳月をかけ完成した。それは間違いだらけのとんでもない辞書だったが、皇帝の命令で作ったというその経緯から“史上最高の辞書”という権威を与えられ、以降は、康煕字典が漢字のスタンダードとなる。この康煕字典の「シンニョウ」は、点が2つだった。そのため、中国、日本では「シンニョウ」は原則点2つ。戦前の日本の漢字のシンニョウは2点だったのだ。
戦前の時代では印刷文字に「2点しんにょう」を使用し、手書きでは「1点しんにょう」で書く習慣があったようです。戦後、一般使用する漢字を整理しようという動きがあり「当用漢字」が制定され、1949年には「当用漢字字体表」というものが制定されました。そこで「当用漢字」に入っている漢字の「しんにょう」は「1点しんにょう」と制定されたのです。
そのままの流れで1981年「常用漢字」が制定され、以前は「2点しんにょう」で用いられていた漢字でも、「常用漢字」に追加された漢字は「1点しんにょう」に変更となったのです。
なぜ『遜』『遡』は常用漢字でも「2点しんにょう」なのか?
常用漢字でも「2点しんにょう」のものがあります。
『遜』,『遡』と『謎』(部首は「ごんべん」)
これらはなぜ「2点しんにょう」なのでしょうか。流れからいうと、「常用漢字」に入る漢字は「1点しんにょう」では?と思うでしょう。
『遜』,『遡』,『謎』は 2010年に「常用漢字」に入りました。
このときには、”国語施策の一貫性を大切にするという観点から、原則として表外漢字字体表が示す印刷標準字体を採用”となり、これまでJIS2004で規定され一般的に使用されていた「2点しんにょう」の『遜』,『遡』,『謎』は2点しんにょうのまま「常用漢字」に入ったのです。
1つ注意点があり「1点しんにょう」の『遜』,『遡』,『謎』は「許容字形」という形で常用漢字に規定されているので、「1点しんにょう」の『遜』,『遡』,『謎』を使用しても問題ないです。
なんとも複雑な「しんにょう」の点の数問題です。
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